白夜行

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)



気になって気になってババーと読んでしまえるね。そして、どんよりしながらなるほどねと本を閉じたくなります。東野さんは毎回暗いわ。読書好きの姉は、苦手な分野なので読まないと言っていたけど、読んだ後にどっしり心に来る内容のものがワタシは好きです。
にしても、映像化するのが難しくて、今回のドラマのやり方に読者が反発していたのがよくわかります。ネタバレが最初に来ちゃっていることや、本来いないハズの役が登場したりと読者にとっては世界観を壊すなと言いたくなるのもあたりまえでしょうね。ワタシはドラマを先に見て、その後に本だったのでアレですが、単純にわかりやすくなっているのが非常に嬉しかったです。文字でうっすら人物を描写されても、今回みたいな多くの人が経験しないような事を経験している人について想像できないですからね。印象にない人というのは、ワタシの脳みそが記憶してくれません。文字と、映像と、人という大切なものを認識するために重要なのは、目からの具体的な情報であるということが、ワタシには一番に当てはまるといえます。*1
結末に向かってよ読み進めて、あの部分はここかとか、あーなるほど、というような映像がいくつも頭を過ぎりました。にしても心配なのが、クライマックスの二人の年齢が30歳あたりということ。実年齢が22歳の二人に、30の人の渋みが出せていたのかは疑問ですが。どこか省略してドラマ仕様にしいてしまうんだろうか。そうだとしたら非常に残念なのですが。
多分、ワタシが目にするものが本だけだったとしたら、物語の最後のとらえ方が作者の意図していたものとは全く違ったことを考えてしまっていたんじゃないでしょうか。雪穂に対しての思いとか、亮介の思いとか。人生まだまだ薄っぺらいので、真を突くほどの硬さでぴんとしていられないくらいフニャフニャな甘っちょろいものだったんじゃないかと思います。そんな考えを、少し固めててくれたドラマ、そして主演のお二人。もっと固めてくれることを期待して、ドラマ見ます。

*1:ただ単に覚えられないことに対しての言い訳。