グレイヴディッガー

グレイヴディッガー

先ほど読み終わりました。

高野和明さんの本を立て続けに2冊読みましたが、年季の入った男のなんともいえない人情が好きです。その構成に飽きたらどうなるかは知らないけれど、飽きるまでは延々好きと思い続けます。この本に出てくる刑事や、主人公もまさに人情派。憎めない熱い人たちが出てきます。前半は奇怪な事件や犯行で、西洋の魔女狩りだとか見えない裁きが〜とか言い出したのを見て、現実的な人の中に幻想的で空虚な話を進める内容かよとげんなりしたのですが、流石にそんなことはなしに現実的に進んだので一安心。危うく読むのを止めるところだったよ。
内容は見た本人が感じたままだと思うのですが、これこそ最後に著者のメッセージが詰まっていたように思います。犯人は誰だったのか、そして本質的な被害者と加害者は誰だったのか。最後に出てきた、あの人物はどこから・・?など。よくありがちだけれど、毎回ゾクッと背筋が凍ります。こういうのは好きだ。ただ、人がたくさん出てきたり、いくつかの場面を同時進行するので「現場」も混乱していますが読者も混乱する。(少なくともワタシはした。)頑張れ読む人。

内容とは全く関係のない話ですが、単行本の表紙よりも文庫の表紙の方が好きです。内容に出てくる鉄の仮面(西洋の騎士が着用しているもの)が暗闇の中に光る時が表現されているし(文庫だとダースベイダーのよう。)、顔や怪しげに黒いマントがズームされているから。文庫のように、バックに業火、手には斧、なーんていう物的なものが描かれてしまっているのでどうもパッとしないちんまりした「人」を創造してしまう感が拭えません。人それぞれなんだけどね。

グレイヴディッガー (講談社文庫)

グレイヴディッガー (講談社文庫)

グレイヴディッガー

グレイヴディッガー