いま、会いにゆきます。
- 作者: 市川拓司
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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タイタニックと同様、事前に持っていた(本に関する)知識をいい意味で裏切られたので*1非常に満足。
これを読んだ今、既に読まれた方に問いたいことがある。非常に興味があるその事とは、"誰が一番悲しい役所であると感じたか"ということ。私が感じたことはこれより下に続く。(多少ネタバレあり。)
読み進んで行くたび、時折出て来る彼女(妻の澪)の不思議な相槌や言葉は、最後に書かれる彼女からの手紙ですべてが明らかになった。これで、雨の日に<戻って>来た彼女の秘密がわかるのだけれど・・・この部分を読んで私は、彼女が登場人物の誰よりも早く幸せを掴み、そして一人で絶えるべき悲しみも掴んでしまったことに気づく。
そういった意味で私は、彼女がこの作中で一番の・・(なんと言ったらいいのか。彼女にとっては、その悲しみにも打ち勝つ幸せを掴んだんだろうけど、私には悲しみがクローズアップされてしまうので、あえて)悲しみのヒロインに思えてしまった。それは、掴んだもの以外にも色々要因はある。
自分の死の悲しみを知ったこと、自分が死んでからの本当の時間は見られないこと、愛するものとの幾度の別れ、待つことの悲しさ。それらはすべて、彼女の中にある。もちろん、夫や息子と共有するものもある。でも、一番重いのは彼女に思えた。